三菱UFJ銀行 API事務局です。
今回は、自社サービスに当行APIを取り入れている企業様のインタビューをお届けします。 本日ご紹介するインタビュー企業様は、中小企業や小規模事業主向けにオンライン資金繰り管理/融資サービスなどを提供されているエメラダ株式会社様です。当行APIを実際に活かしたサービスについて、開発担当者やマネジメントに関わる方々に開発時のエピソードなども踏まえてお話いただきましたので、API活用のイメージがより膨らむと思います。
金融機関との連携と独自のスコアリングにより、日々の資金繰り自動分析を実現
― 提供されているサービスやターゲットとしているユーザーについて教えてください
中小企業向けに通帳管理等のアカウントアグリゲーションサービスや、取引先別入出金の動向、売上・収益の推移、 借入・返済状況の推移、借入余力シミュレーションなどを自動的に分析したデータ等を提供しています。
中小企業だけではなく、API接続で情報を提供する金融機関側もターゲットと考えていますので、双方に価値のある分析データを提供できるようなサービスを目指しています。実際にリリースまで含め連携している金融機関は、10行程ですが、現在も70行以上の金融機関との連携協議を進めており、将来的には100~200行近い金融機関と連携する予定です。
最新の情報をいつでも提供できる環境にするためのAPI
― 当行APIをどのような利用場面で使われているか教えてください
エメラダ・マーケットプレイスというサービスで、仕訳作業をせずリアルタイムに自動分析を行うためにAPIを利用しています。当社では、APIによるデータの取得は3時間に1回程度対応しています。各金融機関のシステムメンテナンス時間帯は異なるため、それも考慮に入れた仕組みを構築しています。データベースに鮮度の高い情報を保存することで、いつでもデータリクエストに答えられるようにしています。
サービスの根幹部分を担う銀行とのAPI接続は自前で実現
― 他社のアカウントアグリゲーションサービスを利用せず、自社で各金融機関と接続していこうと思われたのは何故ですか
先々のことまで考えますと、サービスの根幹部分を他社へ依存するのはリスクが大きいと考えたため、自社でアカウントアグリゲーションサービスを構築することにしました。また、自社でAPI接続を行う方がアカウント作成作業などで他社の画面を介する必要がないためユーザー側の利便性維持にも繋がると考えたことも理由の一つです。
連携する金融機関が千差万別の中、どのように対応・モニタリングしていくのかが大きな課題
― 接続先が増えるほど管理は複雑になるかと思いますが、契約面やシステム面で工夫していることがあれば教えてください
おっしゃるとおり接続先が増えると管理が大変です。中でもチェックリストの仕様が金融機関によって、千差万別なことには苦労しています。FISCのチェック項目をそのまま使うか、少し変えるか、大幅に変えるか、独自のものにするか、金融機関によって本当に様々ですね。現在は連携している金融機関数も少ないので問題ないですが、来年以降、契約する金融機関が100行、さらに200行と増えていく際には、どのように定期チェックに対応していくのかということが大きな課題だと思っています。現時点では、省力化の観点で各行のチェックリストを基に重複する部分を纏めるなどしたマスターとなるチェックリストを作成し、各行の審査に対応しています。
― 当行APIを使用して開発される上で、苦労した点はありますか
三菱UFJ銀行のAPIは、Swagger(※)で定義されているので非常に開発がしやすかったと感じました。一方で、三菱UFJ銀行だけではなく他金融機関にも言えることですが、Swaggerの良さをもっと活かせると、より良いAPIが開発できるのではないかと感じます。
※Swaggerは、開発者がRESTful Webサービスを設計、構築、文書化、および利用するのに役立つツールの大規模なエコシステムに支えられたオープンソースのソフトウェアフレームワークです。現在は、RESTful APIを記述するためのフォーマットであるOpenAPIを用いてREST APIを設計する際に使用するツールセットとなっています。
他社とはターゲットを変えることで、自社APIを活用したサービスの展開を目指す
― 今後のビジネス戦略について、サービス展開を踏まえてどのようにお考えでしょうか
近い将来の目標としては、主にスコアリング、財務分析のさらなる自動化を中心に、他社からAPIで取得したデータをどのように自社で活用していくかを考えていきたいと思っています。
個人ではなく、中小企業をターゲットにしているサービスは少ないので、そこにターゲットを置くことで、弊社独自のAPIを活用したサービス展開ができるのではないかと考えています。
― 今後、当行に限らず金融機関全体としてAPIに求めることや課題と感じている点があれば教えてください
どのような金融機関も、全ての情報を公開するのは難しいと思いますが、APIを利用する側が責任を持つようにすることで、照会系のAPIに関しては審査を軽減したり、公開情報については契約がなくても誰でも利用できるようにすることが出来たら、APIの利用拡大や新たなシナジー創出に繋がるのではないかと思います。
<エメラダ株式会社様>
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会社HP:https://www.emerada.co.jp/