電子決済等代行業登録企業に聞く!電代業登録への道のり

三菱UFJ銀行 API事務局です。
今回は銀行APIとの関係性が高い電子決済等代行業(以下、電代業)に着目し、電代業の登録を完了している企業にご協力いただき、登録における経験談に関するアンケートを実施。アンケート結果を踏まえ、今後、登録を検討している方向けに電代業登録のポイントについてご紹介できればと思います。

1.電子決済等代行業×銀行API

電代業とは、とある事業者が、自身のサービス上でお客さまの依頼に基づき、お客さまの振込指図を銀行に対して行ったり、口座情報を銀行から取得し提供する業を営むことをさします。お客さまの重要な情報等を取り扱う事業となるため、2018年6月1日より、「電子決済等代行業」として新しい制度が開始され、国内で電代業を営むには、銀行法等に基づく財務局への登録が必要となりました。加えて、電代業者が接続したい銀行とは、当該銀行が求める接続基準(※)をクリアした上で接続に伴う契約締結が必須となります。
※前回ブログ記事ご参照

一方で、銀行は、当該業者と協働する方針を表明している場合には、当該業を営む体制の整備を2020年6月目処に実施する必要があり、その1つの手段として一般的にAPIが用いられています。
当行でいうと、2019年3月時点で以下APIを利用し当行と接続する事業者は基本的に電代業登録が必要となります。詳細は、こちら
●  口座API(個人・法人)
●  振込申請、総合振込申請、賞与給与振込申請、特別徴収地方税(法人)

2.電子決済等代行業取得企業の経験談からわかること

電代業の登録を完了している企業3社に回答いただいた内容を、以下にまとめました。

≪基本情報≫

  登録している業 主な事業内容
A社 第2号 クラウド会計サービスの開発・提供
B社 第1号、第2号 PFMサービスおよびクラウドサービスの開発・提供
C社 第2号 PFMサービスの開発・提供

※ 第1号:利用者の委託を受け、銀行に対し当該利用者(預金者)の支払・送金の指示を行う業
    第2号:利用者の委託を受け、銀行から当該利用者(預金者)の口座情報を取得し、提供する業

≪アンケート結果から分かったこと≫
第1号、第2号の夫々で登録する際の違いはあるのか?
当局への提出資料にて両方の業を営むのか、どちらかの業を営むのかを明示する必要はあるが、両方の電代業者登録を比較した際、申請過程において「これは第1号だから必要。」というような、業種の違いで求められているものは特段ないようです。

電代業者登録のための準備を開始してから登録完了までにどのくらいの期間がかかったか?
アンケート先企業3社の電代業者登録までの流れとかかった期間は以下のような結果となりました。企業規模や体制によって様々なようです。

  期間 実施内容
準備 2~6ヶ月

・当局担当者やFintechサポートデスクとのやり取り

・当局が公表している資料やFAQの確認

申請~登録完了 1~6ヶ月 ・事前申請
・本申請のための必要書類受領
・社内向け説明
・当局への本申請必要書類の提出
・当局からの質疑応答や書類確認

なお、申請~登録完了期間での当局への本申請必要書類には、役員の情報に関連する書類やセキュリティチェックリストなどがあるようですので、前広に対応する必要がありそうです。

どのような体制で電代業者登録に臨んだか?

電代業担当部署、情報セキュリティ・システム担当部署を中心に、書類収集のため総務部や、法務担当や個人情報保護担当なども入れて体制を組んでいることがわかりました。

(その他アンケート回答内容)

A社 「電代業(FinTech)担当部署(当局、関東財務局との窓口、申請書類とりまとめ)、システム・セキュリティ担当部署(システムチェックリスト回答)、総務、個人情報保護担当部署(システム以外チェックリスト回答、財務書類、役員提出書類取りまとめ)など総勢10名程度が関わりました。」
B社 「3名で実施し、必要に応じて法務コンプライアンス部門担当や弁護士が加わりました。」

苦労した点は?またその点に対してどのような対応をしたか?
全ての企業で挙がったのが、役員の公的書類や役員の自署・捺印が必要な書類の収集に時間がかかったという意見でした。社外や海外滞在中の役員への対応が必要となるため、電代業者登録の期間を短縮するためにはこれらの書類の事前準備が不可欠です。
時間を短縮する方法の一つとして、外部弁護士に依頼して書類を作成するなどの対応が有効だったそうです。その他、各社から以下のような意見もありました。

(その他アンケート回答内容)

B社 「情報セキュリティ・システムの提出書類(データ)の容量が大きく、いろいろ試しましたがオンラインでの提出はできず、DVD・CD 等での提出となり煩雑に感じました。」
C社 「セキュリティチェックリスト確認では、更問対応の過程で、サービス説明とこれまでのセキュリティ関連の取り組みを紹介する場を設け、QAだけでは伝わらない箇所を補いました。」

これから電代業者登録を目指す方に対するアドバイス
共通した意見としては、役員関連の提出書類を早めに準備しておくことや、一般社団法人電子決済等代行事業者協会やFintech 協会(※)主催のセミナーに参加することが挙げられました。また、そういった場で質問をすることで、疑問点を解決されていた企業もいらっしゃいました。
以下リンクは外部サイトへ遷移します。
※Fintech 協会のホームページはこちら
その他、各社から以下のような意見もありました。

(その他アンケート回答内容)

B社 「当局・財務局共に相談に応じてくれるので、完璧なものを最初から作って提出しようとするのではなく、現状について記載し、当局と会話をしながらチェックリストや社内体制を作り上げていきました。また法令やチェックリストで求められている事項は他の事業者登録でも求められている部分が含まれており、公表されている他の登録業種の社内規程雛形等が参考になる部分もあるかと思います。」

アンケートにお答えいただいた企業の皆さま、誠に有難うございました!!

電代業者登録をしている企業は2019年3月時点で30社を超え(※)、今後も増えていくことが見込まれます。
登録をご検討中の皆さまのご参考になれば幸いです。
以下リンクは外部サイトへ遷移します。
※電代業社登録をしている企業一覧はこちら
当局が電代業登録に関する申込み要領を公開していますので、こちらも参照してください。